コスパの話その3:コスパとパフォーマンスの使い分け
コスパの話をしている。前に2つ書いたのでそちらから先に読んでほしい。
1つ目の記事で人生は一度きりだから、生き方に関してはコスパを考えるべきでないといった。
ただどうも抽象的すぎたと思う。具体的な話は別で書こうと思っていたので意図的にそうしたのだが、意味わからんかったって人はこの記事も読んでほしい。ここで幾分具体的な話をするつもりだ。ただしあくまでも”幾分”だ。自分のことながら結局かなり抽象的な物言いになる未来が見える…
僕自身の話
自己紹介もせずにブログを始めたので、たぶん初めて僕自身の話をする。
僕は今大学生だが、再受験をして薬学部にいる。
以前は同じ大学の理学部にいたが2年次で退学して再入学した。
「薬学部にいます。」と言えば、「じゃ将来は薬剤師?あるいは製薬会社で働いたりするのかな?まぁ免許とれば食いっぱぐれることはないからいいね。」と言われる。
まぁそうなるよな。6年制の薬学部で免許取って出るのだから普通は薬剤師になる。それがセオリーだ。王道だ。
王道ということは…(コスパの話その2:王道とコスパ - もがろぐ)…コスパの良い道だ。
実際コスパを考えれば薬剤師になるべきだろう。
わざわざ勉強して(国立なので名前を書けば受かるようなところではない)理学部よりも偏差値の高い学部に入り学部なのに6年もかけて出るのだ。ここを出ないと得られないものを使わないともったいない。
しかしやりたいことが別にある。ついでに薬剤師に興味がない。(この学部で学べることは知りたいことばかりで楽しいし薬学部に来て良かったと思っているが、受験の時点で薬剤師に興味はなかったので再入学して幻滅したとかではない。)
僕のやりたいことは理学部を出ていても十分出来ることだ。むしろ理学部卒の方が幾分多いだろう。
こう考えると僕はとてもコスパの悪い道を選び回り道をしている。実際とてもコスパは悪い。
薬学部に来た時点で薬剤師になるのは容易い。勉強は楽ではないがどの道やらなければならないしやりたい勉強なのでいい。
しかし僕のやりたいことをするためにはこの学部の勉強とは別に努力しなければならない。とても労力がかかる。
では僕のこの選択は悪手か。
違うと思う。
来世があるのであればこの学部(Bコース)に来ないとできない薬剤師(特上カルビ)という道を選んだ方がいいだろう。
来世はこの学部に来るために払った労力(4000円)を僕のやりたいこと(牛タン)に向ければ(Aコースは3000円なので)その達成は容易い(1000円安く上がる)。
だが重ね重ね言うが人生は一度きりで、一度きりの場合コスパを考えることは無意味になる。
薬学部(Bコース)に来た以上薬剤師(特上カルビ)になるのが王道(コスパの良い道)だが、一度きりであるならばコスパは度外視してたとえわざわざ薬学部(Bコース)に来ずとも理学部(Aコース)からでも出来た(注文できる)ことであろうとやりたいこと(牛タン)をやるべきなのだ。
あるいは僕の子供のころからの夢が薬剤師であれば薬剤師になるのがいいだろう。これがコスパも高くパフォーマンスも高い文句なしの最善手だ。しかし現実にはそうではない。
コスパが高いケースとパフォーマンスが高いケース
コスパというのは分母にコスト、分子にパフォーマンスがあるわけなのでパフォーマンスが上がればコスパも上がる傾向にあるが、そうでない場合もある。
僕の場合は「この学部に来てしまった=この学部に来るための労力を既に払った」という事実がコスパの高い道とパフォーマンスの高い道を違わせる条件になった。
他の条件も考えられる。
例えばある少年に野球の才能があり、野球の世界で生きていけばいずれ世界を獲れる選手になり得ると考えられたとする。そんなわかりやすく才能が露発するのかは知らないがそうだとする。
その少年が野球大好きで野球選手になりたいのであれば野球の世界に飛び込むべきだろう。
しかし彼には学校の先生になりたいという夢があったとするとどの道を選ぶべきか。
周りからすれば野球選手になってほしいだろうが、野球の才能があるからその道で生きるのが幸せなのかはわからない。
野球は好きでも嫌いでもないけど才能があるからやったら成功したというのと、凡庸ではあるがなりたかった学校の先生になったというのでどちらが幸せか。
野球選手として大成という条件設定が破格すぎて野球選手になった方が幸せでしょと思ってしまうかもしれないが、基本的にはなりたい職業につくのが、将来の夢を成就するのが一番幸せなはずだ。
何をしたいかでなく何が向いているかで生きるのはコスパはいいがパフォーマンスは恐らく低い。
コスパとパフォーマンスがともに最大値をとる場合も多いが、そうでないときが悩み時なのだ。
上ではコスパの高い道とパフォーマンスの高い道が異なる条件として2つ挙げた。
- 既にある程度レールに乗り王道と称することのできるコスパの高い道が示されている場合
- やりたいことと向いていることが異なる方向を向いている場合
他にも
世間一般の嗜好と自分の嗜好にずれがある場合(焼肉屋の例はこれにあたる)
高パフォーマンスの道にしっぺ返しを食らうリスクがある場合
などがある。
こういうコスパの高い道とパフォーマンスが高い道で分岐したとき、その選択が一度きりであるかどうかを考えるといい。
一度きりでなければ基本的にはコスパの高い道を選んだ方が正解だし、一度きりであればパフォーマンスのみを求めた道を選ぶことを考える方がよい。
僕は来世を信じていないので牛タンを食べるつもりだ。