もがろぐ

思考と趣味、ときどき日常

イタリアン冷奴を作った

和食と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
ご飯、みそ汁、焼き魚、納豆、冷奴、e.t.c...
まぁだいたいこんなところだと思う。これらを食材まで戻って考えてみると、米、味噌、魚、納豆、豆腐、、
どうも大豆が多すぎる気もするがその話はまたの機会に。今回注目するのはこの食材たち。食材だけで見ても和食って感じがするだろう。米や魚はともかく納豆なんて日本以外で、和食以外で使われているとは考えにくい。

つまりスーパーから帰ってきたお母さんのエコバッグにこれらが入っていれば、それだけで明日の朝ごはんは和食かぁとわかってしまうのだ。

しかしそれは正解なのだろうか。
これらの食材から紡ぎだされる料理が和食である必要はないのではないか。
米と納豆を買ってきたお母さんがフランス料理を作りだしても間違いじゃないんじゃなかろうか、いやむしろそっちのほうが正解だったりするかもしれない。納豆を活かせるのは和食だけだと誰が決めたのだ。
今日はそんな話だ。

水曜日のダウンタウン風に言うと
「日本の食材、実は日本以上に活かせる国がある説~」
僕自身水曜日のダウンタウンを観たことがないので再現度が低くても許してほしい。本当はジャンルと食材を全部シャッフルしてみたかったのだが、諸般の事情でこの形に。本家水曜のなんちゃらに任せた。

早速本題に入ろう。ルールは簡単。今回用意した日本の食材3つを3つの国のスタイルで調理して味と見た目で評価する。
最も評価の高かった国がベストオブ日本食を巡り和食styleと決勝を争う権利を得る。
ここでもし和食に勝つジャンルが現れたりしたら「日本食とは和食のことではなく中華料理のことである。」なんて条文が日本国憲法に加わることになる。

  1. 日本の食材(豆腐納豆)を各国のスタイル(中国イタリアインド)で調理する
  2. 評価項目は見た目の良し悪し(独断と偏見)、の良し悪し(独断と偏見)、食材との親和性(独断と偏見)の3つ

f:id:mogarinnrinn:20171215222130j:plain:w200,right 食材と国の選考は厳正な独断と偏見のもと決定された。異議は受け付けていない。

それじゃいってみよう

エントリーNo.1 豆腐

まずはジャブ程度。ジャパニーズ冷奴がベースだ。

豆腐は日本独自のものと言ってしまって差し支えない。なにせ「豆腐」の英訳が「Tohu」なのだ。

津波の話は有名だがそれと同じで、日本にしかないものが海外に認知され日本語そのまま英語になってしまうということが往々にしてある。TSUNAMI!KAROUSHI! TOHU!

中華

トップバッターは中華。中国4千年の歴史を豆腐にぶつけてもらった。その結果がこちら。

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『辣豆腐(ラードーフ)』

そう。こういう記事なのだ今回は。
シンプルながら真っ白なキャンパスに映えるラー油のオレンジ。このコントラストは高得点。
味は普通にラー油のかかった豆腐。シンプルに不味い。
全体的な食材との親和性はそこそこ。

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お付きの者に汗を拭いてもらう大物豆腐

見た目 親和性
×

イタリアン

イタリアといえばマルゲリータ色だろう。この3色があればイタリアンを名乗っていい(言い過ぎ)。

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『冷やし豆腐のワンプレート~オリーブオイルを添えて~』

冷奴はジャブということで3色は揃えないことにした。イタリア、自らハンデを負う余裕の態度。
正直フランス料理との区別がついていないが細かいことは気にしないことにする。

イタリアだけは絹ごし豆腐を使ったのだが、どうやら正解だったよう。滑らかなツヤのある表面とオリーブオイルで上品な雰囲気に仕上がっている。

豆腐の上のオリーブオイルと周囲のイタリアンソースが雰囲気の盛り上げに一役も二役も買っている。

全体的に地中海を思わせる味わいだが、イタリアンソースを口に含んだ途端地中海から大阪にトリップする。不思議だ。

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見た目 親和性
× ×

インド

インドといえば

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『カレー豆腐』

カレー。手食文化。
以上。

見た目 親和性
× ×

味が案外悪くなかったのがなんか悔しい。



エントリーNo.2 納豆

サクサク行こう。
次は日本人ですら忌避する人の多い腐った臭い豆。
最初にこれを食べようと思った人間は脳も発酵していたに違いない。
恐らく今回の一番の鬼門。豆腐とか今思えば雑魚だ雑魚。

中華

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『納豆餃子(ナードゥチャオズ)』

中華といえばエビチリや酢豚、シュウマイなどいろいろあるが今回は餃子を選んだ。
納豆の臭いを閉じ込めてくれるフォルム、包容力が魅力的であった。

味はといえば、これがなかなかどうして悪くなかった。

納豆と餃子の皮の風味が変に反発したりせず互いに歩み寄っている。我々人間もこうありたい。

最初はひき肉に納豆を混ぜてタネにしようと思っていたが、そのままやっていたら普通に美味しく出来上がってしまっていただろう。
調味料はポン酢よりも醤油のほうが合う。

見た目 親和性

イタリア

イタリアといえばやはりピッツァである。今回は3本勝負だが、一度はやっておかねばなるまい。ここでやっておこう。
f:id:mogarinnrinn:20171215190357j:plain:w300:,left パッケージにイタリアの国旗があったので飛びついた。ちなみにこのレトルトピザ、ベーコンがおまけでくっついてきたお得セットだ。レジのおばちゃんに強引に剥がされかかる憂き目に合ったが、見た目に反した脅威の接着力で事情を説明する時間を稼いでくれた。

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美味しそうだった頃の彼



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『ゲロ・カルボナーラ
つらい。
美味しいままで食べたかった。一口も食べずに君を汚してしまう僕を許して

しかもこの納豆、付属のタレでなくオリーブオイルで混ぜているのだ。

ただでさえネバネバの代名詞みたいな納豆なのに、油で混ぜたもんだから普段の8割増しぐらいの粘りを見せた。

作る側は作る側でひきわりと粒々をちゃんと両方用意するという間違った気の利かせ方を見せた。

味のコメントの前に触れておきたいのが、臭いだ。
僕は今「におい」と打って変換したが「くさい」と読んで頂いても何ら齟齬は生じない。

ピザの純粋に美味しそうな匂いと納豆の邪悪な臭いが混ざっておかしな臭いになっている。
なにかしらのハーブの臭いがする。それも滋養強壮とか疲労回復が期待できそうなタイプでなく、ハイになりたい人向けのタイプ。
食べる前からヤバいオーラを放ってらっしゃる。

味は、、最悪。
サクサクネチネチサクネチサクネチネチ…
不味いというよりつらい。

今日一食べ物で遊んでごめんなさい感が強かった。

見た目 親和性
× × ×

カレーインド

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『カレー納豆』

なぜ僕はこんなことをしているんだろう。

見た目 親和性
× × ×



エントリーNo.3 米

ちょっと休憩した。イタリアとインドの納豆で気力が持っていかれた。
不味いと思いながら食べると余計にお腹に溜まる。結構つらかった。
けどもう大丈夫。休憩も挟んだことだしそろそろ最後にいこう。

米だ。日本人のソウルフード。こればっかりは外せまい。
それじゃ早速中華からいやちょっと待て。あれ?稲作って中国伝来なのでは…

中国。うん、中国じゃん。中国のものじゃん。むしろ日本のほうがパクリじゃん

しかも米の発祥たしかインドのアッサム地方だった気がする。んんん。




まぁいいや。

中国

いやもうここまで来たしやるよ。
元が中国でも料理としては日本の方が完成度高いのかもしれないし。どっちが先とかそういうんじゃないから(手のひらの絵文字)

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『三食寿司(サンソゥショウスー)』

一旦休憩したおかげかここまでで一番完成度高い気がする。疲れてたんだな。疲れてるのかな。

解説が必要だろう。左から、メンマの握り、きくらげの握り、鷹の爪の軍艦である。

f:id:mogarinnrinn:20171215202829j:plain:w300,left  寿司を握るのって実際にやってみるとかなり難しいということを知った。

うまくまとめるのも固くなりすぎない程度の力加減も一筋縄ではいかない。しかし僕はこの難しさに対して一つ解決法を編み出した。 皆さんはご存知ないだろうが、ご飯に酢を振るとまとまりやすくなるのだ。

「シャリは酢飯にするといい」

これからこの事実を知り合いの寿司職人に教えてあげるつもりなので、明日には寿司業界に震撼が走るであろうことをここに予言しておく。

見た目といい味といい特に欠点が見つからない。きくらげの表面が乾いて産毛のようにフサフサしていたのが気色悪かったが大したことではない。

納豆ピザを経た今の僕の”大したこと”のハードルはとても高い。

見た目 親和性

イタリア

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『オニギーリ・カプレーゼ』
白状すると、思いつかなかった。
やはりソースをそれっぽく添えるだけがイタリアンではなかったらしい。
味は普通におにぎりとトマトの味が別々に存在するだけであった。米はどうも受け付けないらしい。

見た目 親和性
×

インド

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『カレーライス』

驚きのフィット感。まるで既に家庭料理として日本に広く浸透しているかのような錯覚すら受ける。
美味しい。ご飯とも合う。最後の最後でまともな食事にありつけた。

見た目 親和性

とうとうフルスコアが出た。見た目の項目でほんの少し手が止まったが、ここは迷ってはいけないところ。

総括

全体的な評価は、中華>イタリア=インドといったところか。

インドは前2つがひどいがカレーライスで補ってあまりある成績を叩き出した。

イタリアは地理的に遠いことが文化的な距離も広げたのか、本来のポテンシャルを発揮しきれず全体的に振るわなかった。時差ボケに苦しんでいたら大会が終わってしまったスポーツ選手のよう(例えが下手)。

中国は強かった。中国4千年の歴史は伊達ではない。経験値が違う。あらゆる食材に対応できる包容力を感じた。
また中華料理と一口に言うが、中華は辛さを押し出した四川料理、比較的薄味の広東料理などと広大な国土を盾に様々分化してそれぞれの得意分野を持っている。
その集大成を持ち寄って中華料理と名乗るわけだからそりゃ洗練されたものが出来上がる。経験値だけでなく選手層が違う。厚い。

食事はその国の文化の最たるものであるわけで、環境はもとより食材に料理のスタイルが規定されるのは当然なのだが、カレーライス()や中華のマッチ具合からある程度は食材と料理をシャッフルしても成り立つなと感じた。

ちなみに一応断っておくが、今回使った食材は、納豆ピザ、カレー納豆含め全て自分たちの胃袋に収めた。
最終的に全て自分の胃袋に入れることを免罪符に食べ物で遊ぼうという企画であったのだ。
不味い不味いといいながら食べている時点で食べ物を粗末にしているだろうという向きもあるかもしれないが、そこは大目に見ていただきたい。

ちなみに今日の僕の晩御飯は納豆巻き。決勝戦、日本の勝ち。